注)今回のエントリは相当長いです。
京都伊勢丹地下の「老舗・名店弁当」コーナーで、(色んな意味で)なかなか買えないお弁当が販売されているのはずいぶん前から知ってました。でも高級なお弁当をどういうシチュエーションで食べるべきなのか、それ以前に自分の好みのものが買えるかどうかわからないので、ずっと手が出せませんでした。ところが、この5月から予約できることを知り、課題は一つクリア。
それとは別に、飲み食い仲間のだいこんさんからえて吉さんと僕に「GWさなかに飲みませんか」とのお誘いがあり、外で飲むのも混んでるからえて吉さん宅でなんか持ち寄ろうかと思ってんです。ところが伊勢旅行の最中にえて吉さんと話してて、京都伊勢丹の弁当を買ってきて飲むっちゅうのはどうか、どうせなら豪勢に三種ほど買ってアテはそれだけでって、話になりました。だいこんさんに持ちかけてみたら快諾。
早速その当日買えるお弁当の中から三種選んで予約、京都伊勢丹への買い出しはえて吉さんに御足労いただくことになりました。(前置き長くてスンマセン)
選んだお弁当は左から、
「紫野和久傳・二段弁当」(5400円)
「懐石辻留・辻留弁当」(6480円)
「いづう・鯖姿寿司1人前/5貫」(2970円)
この日の宴会料理は基本的にこれら3つのお弁当と、えて吉さんが用意してくれた茶碗蒸しのみ。
箸袋も個性様々。左の辻留の箸袋には、北大路魯山人揮毫「羹臛(こうかく)」。羹も臛もいづれも"あつもの"と読み、前者は菜に由来・後者は肉に由来しているのだそうで(・・;)
まずは辻留。三条京阪駅近くの本店の前を何度も通ったことがありますが、出張料理専門なのでお店でいただくことは出来ません。二代目店主の辻 嘉一さんがNHKの「きょうの料理」に出演されていたのを何度か見たことがあって、あこがれのお店だったんです。お弁当についていた手ぬぐいは、ありがたく僕がいただきました。
包み紙を開くとほぼB3サイズ(364mmX515mm)で、池田遙邨(遥山人)筆による「京都名勝図絵」が描かれていました。いちいちすごい(*_*)
わくわくしながら蓋を開けると、色々ぎっしり。左上から時計回りの渦巻き順で
木の芽あえ(竹の子・百合根・こんにゃく) 鱒幽庵焼たたき木の芽 だし巻き玉子 木耳真蒸(しんじょ) 菊菜北寄貝胡麻浸し 鮎風干し酒焼 合鴨団子 鯛の子旨煮木の芽 一寸豆塩茹で 鯛木の芽寿司 ふき旨煮 かます風干し酒焼 青竹串刺し(車海老旨煮・青唐辛子・椎茸) 竹の子旨煮唐揚げ 生姜甘酸漬け
せっかくの機会なので、ちゃんとしたカメラを持ってくれば良かったですねえ。月並みな感想ですが、お味はどれも素材を活かした薄味で上品、だしの質の高さが感じられます。どれもうまいのはもちろんながら、三人とも菊菜の胡麻浸しとかふきの旨煮とか、どうってことないように見えて実はフツーじゃない、すごいわ!と意見が一致しました。
コンパクトな折りにみっしり詰め合わされていて、この値段でも全然惜しくないさすがの値打ちもの。いい経験させてもらいました。
続いて、「紫野和久傳・二段弁当」。ぶっちゃけ、最初見た時は「ちっちゃ〜」と感じました(失礼)
しかしながら、一人前なんだからこの二段はむしろ多過ぎるくらいでしょう。今回は「三種食べ比べ」ではなく、それぞれのお弁当を楽しむのが趣旨ですが、おかずの折りはなんというか(悪い意味ではなく)「手堅いな」という印象でした。
もう一段の「鯛ちらし」はかなり前から食べてみたかったのに加えて、最近えて吉さんが食べてていっそう興味が膨らんでいました。食べてみて、確かに驚くほど薄味。温度環境と賞味期限を計算した上でのぎりぎりの塩と酢の塩梅なんでしょうが(知らんけど)、こちらはかなり攻めててすごいなという印象。一人前のお弁当としては、個人的には一段のほうで充分楽しめるなと感じました。
トリは創業以来240余年の「いづう」。「名物さば姿寿し いづう」の文字がアピってきますw
一人前5貫ではありますが、これを一人で食べたら相当応えるでしょう。
鯖・米・昆布と構成要素がシンプルだから、ごまかしが効きません。時代の変化に合わせ、変わってないようでいて、実は変わり続けてきたのでしょうね。久々にお店でも食べてみたくなりました。
お弁当3つで14850円、一人当たり約5000円と高額ではありましたが、外食するのと比較したら全然大したことないし、とても満足度が高い宴会でした。内容はもとより、こうして一度に複数食べるなんてなかなかできませんからねえ。こういう企画に賛同してくれる飲み食い仲間がいてくれてありがたい限りです。
(季節替わりの第二弾またやりたいな)
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