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米原駅「井筒屋」の駅弁とお別れ

*一つ前のエントリ「2月末で駅弁から撤退する「井筒屋」へ(滋賀県・米原駅前)」の続きです。
 

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井筒屋で買った駅弁3つのうちの1つ「鶏めし」を米原の本社工場で、残り2つは持ち帰って夜に妻と食べることにしました。名作「湖国のおはなし」をはりこんで2個買って、一人一つずつ。唐草模様の紙風呂敷が粋です。
 

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僕は今回で3回目で、初めて食べた4年前は容器が本物の竹製のすだれでした。2年前に食べた時にはすだれをプリントした紙箱になっていてちょっと残念だけど、諸物価高騰の折り仕方がありません。
 

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蓋を開けると、盛りだくさんのおかずと季節で替わるおこわとおやつが入ったサイコロが詰められています。
 

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蓋の裏の右半分には「湖北のおはなし」のイメージコンセプトが、左半分にはそのイメージを具体化した説明文が書かれています。これを読むと、如何にきっちり企画し、それを実行し、守り続けられて来たかが感じられ、今回の廃業がいっそう残念に感じられます。「そういうことを続けられなくなった」からこそのことなんでしょうね。
 

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左のおこわは、季節の移り変わりに合わせて山菜・枝豆・栗と替わっていきます。おかずは、鴨ロース・鶏の鍬焼風・小鮎煮・こんにゃく煮・玉子焼・葱と揚げのぬた・小芋煮・黒豆・梅干し・赤蕪のお漬物・山ごぼう漬。どれも駅弁とは思えないほどきっちりとレベルの高い仕上がりで、これをこの価格(1480円)で維持されるのは大変だと思います。おかずでおこわをいただくのもよし、おこわのみを味わうのもよし、おかずをアテに飲むのもよし。本当によくできた駅弁というかお弁当でした。井筒屋さんに感謝します。
 


持って帰った駅弁のもう一つは「おかかごはん」(1300円)で、これは二度目。おかずは少なめなのは、醤油味のおかかが敷き詰められたごはんが主役だから。おにぎりなんかでもそうなんだけど、おかかとご飯って合いますよねえ。改めてその相性に気付かされるとともに、よほどご飯に自信がなければこんな弁当は商品化できないはず。これまた井筒屋さんのプライドが感じられる「ご飯をアテに飲むこともできる駅弁」でした。
 

僕が若い頃はJRが分割されておらず、全国で一社でした。その頃長期の休みによく使っていたのが各種周遊券。目的とするゾーンまでの往復切符は急行列車が使用可、目的とするゾーンでは定められた期間内は自由席なら特急・急行も乗り放題でした。これを使って北海道に流氷を見に2シーズン連続で行ったっけなあ。その他色んなとこにも。とにかく長期間安価で自由度が高い旅ができる時代でした。

現在では長距離の急行電車なんてのはほぼ皆無だし、地方路線は廃線になったり三セク化されて、昔のような「お金はないけど時間と体力はある」人にとってどんどん行動しにくくなっています。そして周遊券なき後「青春18きっぷ」で新たな旅の楽しみ方が出来たと思いきや、この度の改悪で実質的にほぼ使えなくなってしまいました。

長距離列車が無くなり、新幹線がどんどん増え、並行在来線は三セク化され、鉄道の旅は「お金を使って速く目的地間を移動する旅」に変わってしまいました。旅の途中でふと気になった駅で降りてみたり、気が変わって別の目的地に行ったりなどという気まぐれがしにくくなり、目的地以外で出会ったり発見したりする旅の楽しみの幅がどんどん狭められています。また移動にコストがかかることにより、行きたいと思っても気軽に行けなくなってしまいました。
そうした鉄道の旅の変化が井筒屋さんの廃業の大きな理由の一つであり、米原駅利用者の減少などを鑑みると、残念ですが今回の決断を受け入れざるをえません。自由度が高かったこれまでの鉄道の旅の時代が終わるとともに、「そこでしか出会えない駅弁」も終わり、私たちの大きな楽しみがまた一つなくなっていきます。

まあしかしそういう流れにめげず、新しい旅の楽しみ方を見いだしていかねばなりませんね。多くの鉄道ファンがいずれまた新しい方法を見つけてくれることに期待しましょう。(クソJRめ!負けんぞ!)
 

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