【旧】foodish:”雑”食記

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うなぎの煙が目にしみる 〜 遠州閉店

Posted ish / 2007.12.19 Wednesday / 20:40

昨夜のこと。飲んだくれて家に帰ってMacを開いてみたら、foodishのメールフォームを通じてcana79さんという方からメールが届いていました。
その内容は…三年ほど前からfoodishを読んでいるが、コメントをしたことはない。でも、この度はどうしても伝えておきたいことがある。というのも、13日にエントリした大阪西天満の「遠州」が、今週12月20日にお店を閉めてしまうらしい…

えーえーえー!!!そんなアホな!!まさか〜!!
つい最近行ったとこやし、店内にそんなこと書いてなかったし、そんな話は聞いたこと無いし。文面からして信用できそうな方とはいえ、ガセかも知れないので(cana79さん、ゴメン)とりあえず検索してみたら、こちらが見つかりました。うーむ、こりゃどうやら間違いなさそう。なんとか確かめなければ。最終日の20日は予定が入っていて行けそうもない。たまたま19日は平日休みを取っていたので、明日(注:現時点では今日)の昼時なら行ける。ということで、間違いであって欲しいという気持ちを持ちつつ、例によって13時過ぎに行ってみることにしました。

うなぎ遠州1.JPG

なんらかの張り紙でもあるかと思ったら、まったくいつも通り。昼時のサービスメニューも表通りに出ているし、換気扇から煙はもくもく出ているし。この段階では、ひょっとして何かの間違いでは、と淡い期待を抱いていました。

うなぎ遠州2.JPG

店内に入ると、1階は先客3人ほど(10分ほど後に、ほぼ満席になりました)、2階にも4人。調理場では、うなぎを割き串を打ち、炭で焼いてタレをかけるといういつも通りの作業が行われており、ここでもなんらかの表示は一切なし。前回に比べてお客さんが多いとは言え、一見何も変わった点はないようにしか思えません。

うなぎ遠州3.JPG

ただ、なんとなく気のせいか、空気が重い。やはりそうなのか、どうなんだろかと思いつつ、今日は奮発して上丼2400円を注文。うなぎが仕上がっていくのを眺めながら、店内あちこちでの会話に耳をそばだてることにしました。
遠州がある老松通近辺は弁護士事務所や骨董品屋が多く、いかにもそれらしい紳士風の方をこの店でもよく見かけます。先客の一人がそういったタイプの常連っぽい方で、僕が焼き上がりを待っている途中にお勘定をされました。
その時のお店の方の言葉。「先生は今日が最後ですね。どうぞお元気で」と。
…ああ、やっぱりそうなんや。

うなぎ遠州4.JPG

久々に目にするここの上丼はやっぱりすごい。蓋をあけるとたまらなくいい香りがボワンとあふれ出し、見るだけで唾が沸いてくる美しさ。艶めかしく、迫力一杯でこちらに迫ってくる。せっかくの出来たてなので、少しでも時間が惜しい。手早く写真を撮り、お箸で身を割ってご飯と共にあんぐり頬張る。程良く焦げた表面の食感・タレの香り・豊潤な身の旨味と熱々ご飯が混じり合って、もう最高としかいいようがない。やっぱりこの旨さは、裂きたて焼きたての関西風でなければ味わえないと思います。

お勘定の時にこっそりと「あの…明日でお終いと聞いたんですが、やっぱりそうなんでしょうか」と恐る恐る伺ったら、「そうです」と短くきっぱりした答えが返ってきました。尋ねられることを迷惑がっているのではない、でも、普段どおり、このままで店をたたみたいんです、とでもいうような意思を感じました。
恐らく常連さんには伝えておられるのでしょう。店の外にも中にも一切の表示をせず、たんたんといつも通りの仕事を続けてきっぱりと店をたたむ。さすが名店、あまりにもかっこいいじゃないですか。

こんなに素晴らしいものに、こんな形でお別れすることになろうとは。
残念でたまらないし、ある意味ではくやしい。
失ってしまったらもう取り戻せない。そうなった責任の一端は僕らにもあるのではないか、そうなる前に何かできることがあったのではないだろうか、と。


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今回のエントリは感傷的すぎましたが、どうぞご容赦下さい。
お別れの機会を与えてくれたcana79さんに感謝します。
あと一日残っています。都合がつく方はぜひどうぞ。

Comments

saaru2007/12/19 10:54 PM

えぇ〜!
この前のishさんのエントリみて、「いつか絶対に行ってやる〜!」と心に決めたところだったのにぃー(泣)。あ〜、鰻恋しや……。
最後にちゃんと食い納めできてよかったですね。それがせめてもの慰めってものです……(泣)。

saru2007/12/19 10:56 PM

あまりの切なさに自分の名前まで間違えてしまいました……失礼しました(-_-)

ish2007/12/20 12:24 AM

saruさん>
今日中ならまだ行けますよ!…って無理か。
ほんと、最後に食べられただけまだ良かったです。
おいしかったのになあ〜

ぷるみえ2007/12/20 01:32 AM

土用の丑の日ツアーで候補に挙がったお店ですよね。あらら、残念無念。
でも潔くてかっこいいですね。

ish2007/12/20 11:21 AM

ぷるみえさん>
そうそう、その時のお店です。
このまま行くといずれ関西風うなぎはなくなってしまうんやないかと、ちょっと心配になってきます。
まあ、僕が心配してもしゃあないんだけど(笑)

curi2007/12/22 03:50 PM

ご飯にかかっている鰻のタレを見て
ん?これは!
リンク先に飛んでみてやっぱりそうでした
私は三河出身ですのでこの溜まりを使ったタレの色はすぐわかります
関西では醤油タレなので鰻が美味しくてもどうしても馴染めないのです
時々は焼いた鰻を買ってきて家で食べますがタレは自分で作ります
このタレだけでご飯食べられますよ

関西風の蒲焼きは醤油ダレだと思っていたのですが
関東風に比べて腹開きで蒸さないから関西風って事なのかな?

美味しい物を食べさせてくれるお店が閉店されてしまうのは残念ですね

ish2007/12/22 06:23 PM

curiさん>
一般的には、腹開きの地焼きなら関西風と言われているようで、タレの違いでは分類されないように思います。
名古屋のあつた蓬莱軒で食べた時、タレにコクがあるなあと思ったのですが、名古屋地区では溜まりや氷砂糖が使われているようですね。名古屋風のうなぎ、僕もかなり好きです。

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