【旧】foodish:”雑”食記

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雨の日は冒険

Posted ish / 2006.07.18 Tuesday / 17:27

今日は休日。平日のお休みって、遊ぶ相手は見つけにくいけど、どこに行くにも空いていて、けっこう好きなんです。本来なら、さあ今日はどこか新規開拓しようかとウキウキもののはずなんですが、あいにくの空模様。ギンギラで暑くても夏は大好きだけれども、その直前の梅雨は一年で一番キライ。なので、こういう日はいまいちノリが悪く、わざわざ出かける気分になれません。

とはいうものの、家でカビのように沈殿しているのもどうかなあと思ってたら、ふと頭に浮かんだのが近所の怪しい中華料理屋。そこは「見るからにはずれっぽいけど、ひょっとしたら当たりかもしれない」ってタイプのお店で、少し前から気になっていました。この手のお店はあまり意気込んでいくお店ではなく、はずれ覚悟のライトな気分、あるいはややヤケクソ気味な気分の時でないと、なかなか行く気になりません。どうせ梅雨時、遠出するのも何なので、いっちょギャンブルしてみるか、ということで傘を差しつつ行ってみました。

ハルピン店頭.JPG

こちらがそのお店。いつからあるのかよく分かりませんが、恐らくここ5年以内だと思われます。なんてことない街中の中華料理屋さんという風情ながら、妙にひっかかっていたのはその「哈爾濱(ハルピン)」という店名。ありがちな「○○園」とか「××亭」とか「△△軒」ではなく、あえて中国北東部のこの地名をつけたところが気になりました(単に、北京とか上海の替わりの物珍しさ狙いに過ぎない可能性もありますが…)。
ハルピンといえば何故か僕がイメージする料理は水餃子。どこかで彼の地の名物と聞いたのかもしれないし、以前偶然見つけて入った茨木のこのお店のことが頭に残っているのかも知れません。

雨降る中、店頭のメニューを見てみると、水餃子は見あたらず。うーん、やっぱりフツーの中華の店かなあと思いつつ、ここまで来たら後戻りはできません。昼定食もあるようなので、まっいいかとばかりに扉を開けたのですが…
一瞬、戸を閉めてすぐに帰ろうかと思いました(笑)
だって〜まるっきりどこにでもありそうな、ちょっと場末感のある店内やったんやもん(ゴメンなさい)。お天気が良ければ帰ってたかもしれませんが、なにしろ梅雨時、今日は自爆覚悟デーなんやから。ええいとばかりに席に着きメニューを見てみると、予想通り安い。焼飯・焼そば・焼餃子・唐揚げ・酢豚・八宝菜等の定番も当然ありますが、その他メニューも予想外に豊富。うれしいことに水餃子もちゃんとあるではないですか。
フロアの女性に、ビール・ピータン・水餃子を頼むと、しばらくしてまるでゼンジー北京のような片言の日本語で、厨房のご主人から「水餃子はスープに入ったのがいいか、ボイルしただけのがいいか」と訊かれました。
お、なんかイイ感じ。ご主人、キャラ明るい。日本に来て間がない。2種類あるとはこだわりがあるのか。ということで、ボイルしただけのをお願いしました。
出てきたピータンは、ねっちょりとは行かないまでも適度に熟成してて好みな感じ。醤油・ゴマ油・刻みネギのタレにちょこっとつけて、紅ショウガとともに口に放り込み、ビールをやりながら茹であがりを待ちます。

ハルピン水餃子.JPG


出てきたのがこちら。それ程ぷっくりしてはいませんが、10個ほどで500円とお手頃です。ご主人自ら持ってきてくれて、「味ついてるからそのままで。もし薄かったら、醤油や酢使って。」とのご説明。おー、水餃子にタレをつけず、そのまま食べろといわれるのは初めてです。
皮を破らぬように注意しながらツルンと口に入れると、日生のほどドピュッとスープが飛び出すわけではありませんが、肉汁と野菜が合わさった、やさしくてほのかに甘味がある薄味ジューシーなアン。最初何も付けずに食べた後、二つ目は少量の酢醤油をつけてみましたが、やっぱりここのは何もつけずに食べたほうがおいしい。派手さはないけど、しみじみほんのりした味わいだなあと思いました。
お勘定の時にご主人と少し話したところによると、やはりハルピンのご出身で、この水餃子は故郷の家庭の味だそうです。「やっぱり何も付けなかったほうがおいしかったです」というと「味ついてるからね」と嬉しそうな表情でした。

ごくフツーに、ラーメン定食や肉飯頼んでるおっちゃんがいるお店なので、わざわざ訪れるタイプではないかもしれません。でも、一見ごくありふれた街中のお店に見えつつ、まだまだ違った魅力がありそうな感じがしました。
少なくとも、僕はこういうお店が大好きです。当たりやったな、これは。

{お店データ}
住所:神戸市兵庫区大開通10-3-9シャトー第3神戸101
電話:078-578-2186 営業時間:11時〜22時 年中無

Comments

えて吉2006/07/18 06:19 PM

ishさんのことやから、ハズレやったら記事に
しはれへんやろうと思い読み進めました。

世の中の人みんなに声を大にして勧めるお店(そんな店はまずないでしょうが・・・)
ではなくても、なかなか良さそうですね。

味付けナシが一番旨い水餃子って珍しいですね。

> まだまだ違った魅力がありそうな感じがしました。

続報を期待してしまいます。

ish2006/07/18 07:05 PM

えて吉さん>
少なくとも、遠くから来た人を連れて行くにはふさわしくないでしょうね。近所の友人たちと飲み食いする時に、「ちょっとええとこ見つけてん」って連れて行く感じでしょうか。

中華を食べるときに、酢やカラシを使うことがよくありますが、以前某店で「そういう食べ方はどの料理も同じような味になってしまう」と言われました(基本的にその店のテーブルには酢とカラシは載っかってません)。僕らが思っている以上に、中国ではタレっぽいのをつける頻度が低いのかもなあと、今回思いました。

kuro2006/07/18 07:17 PM

かなり気になってたんです。
ココ。
ハルピンって響きが『水餃子』ってカンジで・・
ええ・・なんの根拠もないんですが。
絶対『水餃子』って思い込んでました。
水餃子大好きなんです。
けれど、あんまり外で食べたことなくて・・
昔、大学時代、台湾からの留学生の方が作ってくれた
『水餃子』が素朴で美味しくて、みんなで作ってよく食べました。
でも、最近作ってないなぁ〜なんて・・
あの看板見るたびに思い出してたんです。

また行ってみようかなぁ〜。

ish2006/07/18 09:59 PM

kuroさんも目をつけてましたか。
やっぱりこの店名、なんかひっかかりますよね。
そして、なんでか水餃子。ハルピン名物でしたっけ?

ここの水餃子とその留学生の方のと、似たのだったらいいですね。日生のは、確か台湾由来だったと思ったけど。

こーじ2006/07/19 01:57 PM

はじめまして。最近から拝読しています。

近所と紹介されているお店がすごく近いので、おそらくかなりのご近所様だと思います。

このお店少し気になってました。やはり店名が…

いつもは新開地の方へ徘徊するのですが、一度行ってみようと思います。このあたりは「一見フツーの定食屋」→「実はかなりメニュー豊富な中華屋」がたまにあるので侮れませんねぇ。

ish2006/07/19 04:41 PM

こーじさん>
ようこそお越しくださいました!
やはりこの店名が気になってましたか。
神戸の場合、街中の何気ない中華屋さんでも「おっ、これは!」という場合がけっこうありますよね。そういうお店を、ごく平然と日常使いしてるのって、凄いなあと思います。

みさと2006/07/21 01:59 PM

私の知り合いでハルピン出身の女性がいまして。
「餃子は皮から作れる、これ基本ね。」
と、家におよばれしたとき、水餃子を山のように作ってくれました。やはり名物なのかもしれませんね。

あと、中国旅行で気づきましたが、確かに調味料ってのはテーブルに乗っていませんね。
日本のように取り皿替えもなく、ひとつのお椀でご飯もおかずも全部食べるって感じですよね。
大開、近いようであまり近づかない場所ですが、ishさんのレポまた楽しみにしてます。

ish2006/07/22 11:48 AM

みさとさん>
僕も一度だけ皮から作ったことがありますが、慣れてないのでなかなかチャッチャとできませんね。皮を作ってアンをつつみ、すぐにお湯に放り込んで水餃子作れたらかっこいいだろうなあって思います。
大開から兵庫駅近辺にかけて、安くていい店がいっぱいできていますから、是非一度来てみて下さいね。

inoue阪神間在住者2007/02/27 10:41 PM

foodishさんを、ことし2007年南京町春節→中華料理検索中に見つけました。・・この記事をもとに昨日ハルピンさんへ行ってきました。
 記載通りの、まさしく正統派?!なつかしい感じのする中華店ご主人に遭遇。「水餃子2人前」といきなり言うと「時間かかります」と。「いいです、待ちます。あ、すぐできるのは?」「焼き豚です」(うーん、少し重い・・)ご主人「おいしいです、自家製です」。しかしピータンを頼む。少し残念そう。
 しばらくして厨房から出てきて「うち、はじめてですか?」「はい」「うちの水餃子は汁なしです」というので、思わず「知ってます、分かってます」と答えてしまう。「ワカッテマスカ?ダイジョウブデスカ?」とご主人怪訝そう。
 まつことしばし。いやあ食べで充分。「なにもつけないでもおいしいです」というご主人、また思わず「そうですね」と(食べる前に)答えてしまう。はふはふと食べるのをにこにこ見ていらっしゃる。「おいしいです」というと、またにっこりして「おなかいっぱいになります」と。「これつけてもいいです」と醤油とお酢をさして厨房へ。
 2皿目は 醤油とお酢をつける。また味が違ってよい。特にお酢だけをつけるのが、あっさりしてまた、食べられる。
 終わって「どうです?」「お酢をつけるのもいいですね」
「そう、もっとたくさん食べれるね」とまたにっこり。その後おすすめの自家製焼き豚をサービスで出していただく。これはこれでなかなか!今度はまず焼き豚をつまみにビールのみ、水餃子を待つことにしようと思いつつ家路につきました。
 ishさんへ あらためて御礼をいたします。

ish2007/02/27 11:19 PM

inoue阪神間在住者さん>
ようこそお越し下さいました!
それにしても、foodishを中華で検索した結果、この店を選ぶとは、相当チャレンジャーですね(笑) ちょっとビックリしてしまいました。
僕はこのお店を気に入ったんですが、文中にもあるようにわざわざ尋ねて行くお店ではなく、ジモティが軽いノリで行くようなお店だと思うんですよ。にもかかわらずここを選ばれたのは、相当水餃子がお好きなんでしょうかねえ。
とにかく、お気に召していただいたようでなによりです!
今後ともどうぞよろしくお願いします。

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