【旧】foodish:”雑”食記

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妙な店…やと思ったら

Posted ish / 2006.07.07 Friday / 12:07

先日、大阪市内某所をなにげなく歩いていたら、「…ん?なんか変やぞ」という光景に出会いました。

そば外観.jpg

住宅・事務所・町工場などが雑多にあるここらあたりの街並は、ちょくちょく歩く機会があります。もともとゴチャゴチャしてるから、よっぽど突飛なものが出来ない限り変化に気づきません。なので、こんな風な擦りガラスが張られた、オフィスだかカットハウスだかに見える建物など、気にも留まらないはずです。
最初に感じた違和感は、その事務所風の入口やその周辺に、何の表示もないのに気づいたこと。例えばドアに「○○デザイン事務所」とか、「××歯科医院」なんて書いてあるのがフツーやないですか。なのになんやねん?ここは。
…と思ったら、入口の前にちっちゃな看板が立っています。何が書いてあるのかと覗きにいってみたら…
そば品書き.jpg

なんと、そば屋でした!はっきり言って、この街並みには似つかわしくない(失礼)業種と価格。なおかつ、変則的な週4日間営業。おまけに、店名表示はこの看板に小さく書かれているのみで、それ以外の外観には一切表示がありません。
こんなんで商売だいじょぶなんかいな?!と思った瞬間、こりゃあもう試しに入ってみるしかありません。

数日後の昼下がり、擦りガラスのドアを開けると、「いらっしゃいませ〜」と爽やかな女性の声。およそそば屋らしからぬモダンなインテリアがならぶカーペット敷きのスーペースに靴を脱いで上がり、6席しかない椅子の一つに座って、盛りそば(1000円)を注文しました。

そば店内メニュー.jpgそばつき出し.jpg

(この2枚の写真はクリックで大きくなります)
(左)テーブルの上には、表の看板にないアテメニューが。なかなか興味を引くラインナップです。そばがきの産地表示が重厚やなあ。
(右)注文後、まずはそばを揚げたもの(いわゆるそばかりんとう)が出てきて、次いでこの煮物が出てきました。硬めな火の通し加減のジャガイモと焦げ目をつけた(多分)しし唐に、ダシがかかっています。(このダシ、めっちゃおいしかった!)

そばもり.jpg

極細で姿が美しい盛り。薬味はワサビのみ、ポーションは少なめ。豪快・素朴とは反対の、繊細・洗練といった方向性か。
僕があんまりようわからんのが一番の原因ですが、他の食べ物以上にそばの感想を書くのは難しいです。とにかく、おいしかったです。…それだけではバカみたいなので、あえて書くなら、個人的にはもうちょっと荒っぽさがあるほうが好きかも知れません。ツユは、関西で食べるものとしてはかなり辛めで僕好みながら、もうちょっと醤油っけの角がなければなと感じました。

お勘定の時にお店の女性に聞いてみたら、
  • お店が出来たのは半年ほど前。
  • 月〜木の営業の理由は、なんと、金〜日は別の人が事務所として使っているから(゜o゜)!!木曜の夜には、お店のテーブル・椅子を片付けて、オフィスモードに変身するそうです。
  • 看板をつけてないのも同様の事情によるとのこと。
  • そしてなんと、店主はこの20代の女性だということ!

…どないなっとるんや、これは?!
こんなに「知ってる人しか来るはずがない」ような条件をものともせずお店を出し、さぞやこだわりの爺ィがやってるに違いないとしか思えないようなシブいメニューを出し、しかも出てくるそばはかなりのハイレベル。

で、調べてみたら、おおビンゴ。「ろあん鮎美」という店名の「ろあん」にどうもひっかかるものがあったのですが、噂に聞く篠山の「ろあん松田」のご主人の娘さんのお店だそうです。
先に書いたように、僕はそばのことはわからないし、ろあん松田さんにも行ったことがありません。でもこの娘さんはさすが血統書つきというか、只者ではないと思います。そばもさることながら、つき出しのだしの味が凄かった。そば以外のメニュー選びを自分でなさったのだとしたら、これまた20歳そこそこでこういうセンスはなかなか持てるものではないでしょう。先々どういう風になっていかれるのか、とても楽しみな方だと思います。

そばもさることながら、是非夜にうかがって、その他のメニューも楽しんでみたいものです。昼時も、せめてそばがきと盛りと両方食べたいなあ〜


{お店データ)
住所:大阪市西区千代崎2-22-16
営業時間:12時〜15時 18時〜21時 定休日:金〜日曜日

Comments

おがちゃん2006/07/07 12:28 PM

 海苔に頼らない盛りそばしかないところが、豪気ですね。
 江戸時代のように酒飲みをターゲットにしているところも、好感が持てます。
 「ろあん松田」も、Wakkyさんがべた褒めをしているところを見ると、すばらしいお父さんなんでしょうね。
 鮎の赤煮が気になるなぁ・・・・。

ish2006/07/07 03:01 PM

おがちゃん>
リンク先の鮎美さんの姿、見ました?
ほんとにこんな若い人がやってるお店とは信じられないです。
鮎も豆腐ようもそうだし、「鹿のしぐれ煮」ってどんなんやねんって感じで、この手の品揃えを自分で考えてやってるってことは、凄い飲兵衛だったりして。
おもしろそうな人ですよねえ。

おじゃる2006/07/08 12:15 AM

いやいや 大阪にも本格的な蕎麦屋さんができ始めていますが、いきなり ハイレベルですね。
いちどいってみよ!

ish2006/07/08 01:18 AM

おじゃるさん>
そばの事は、ほんとに書きづらいです。(色んな意味で)
結局は自分の好み次第だとは思ってますがね。
ここは広い意味で興味深く感じました。是非一度行ってみて下さいね。

Wakky2006/07/08 03:29 AM

篠山の【ろあん松田】といえば、
県内(近畿?)でも屈指の蕎麦屋さんだと思うんですよ。
(賛否両論ありますが)
蕎麦のコースで¥4500という値段にも驚きましたが
出てくる料理の素晴らしいことったら!

その娘さんが大阪にお店を開店されたことは存じておりましたが
そうか〜、こういうお店だったのね。
どことなくお父さんのDNAを感じます。

ish2006/07/08 11:25 AM

Wakkyさん>
コメントお待ちしてました(笑)
Wakkyさんとこを拝見しましたが、ろあん松田さん、面白そうですね。そのこだわりと価格をどう評価するか意見が分かれるんでしょうが、以前から行ってみたいと思ってるんです。
この娘さんのお店、タイガース応援とセットで是非行ってみて下さいね〜

けいこ2006/07/10 07:27 AM

こんにちは〜

私も最近蕎麦に凝ってるんですよ
美味しそうですね
お出汁。

ああ、関西に今年こそ行きたい。

ish2006/07/10 11:24 AM

けいこさん>
そばに関しては、東京の方が日常的にもレベルが高くていいですね。
今年こそ関西で、薄味のだしを是非!

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