ミッチャンの想い出(神戸・三宮センター街)

神戸一の繁華街・三宮センター街に、かつて「ミッチャン」というお店がありました。残念ながら数年前になくなってしまいましたが、ある年齢以上の神戸っ子なら知らない人はいない、と言っていいくらい有名な輸入雑貨のお店です。ちょっとしたバッグや文房具、アクセサリー、化粧品、喫煙具、食料品など、今ほどこれらの海外製品が日常的ではない時代に、ミッチャンはその品揃えの豊富さとセンスの良さが魅力的で、同時に、まだ見ぬ外国への憧れを搔き立ててくれる、それはそれは夢のあるお店でした。すぐそばにある「む蔵」でとんかつ食べてミッチャンで買い物をするというのは、一昔前の神戸っ子の王道の一つだったと言えるでしょう。

ところがこのミッチャンにはもう一つ有名な点があって、実はものすごーく愛想が悪い(^^;) ここはそういう店なんやと初めからわかっていてもちょっとビビるくらいで、およそウィンドショッピングなどできる雰囲気ではなく、「買うモンこぉたらはよ出ていって」みたいな空気が充満していました。子供の頃、親の買い物ついでに店内に入り、お店のおっちゃんの目を気にしながら、見たことも食べたこともない外国のお菓子やらおもちゃやらを興味津々盗み見したのも、今となっては懐かしい想い出です。

そんな商売のやり方でも長年続いていたということは、それだけお店の商品に魅力があった証でもある訳ですが、時代は必ず移っていきます。海外旅行も珍しくはなくなり、ソニープラザに代表される同種の店が増え、ミッチャンはその使命を果たしたかのように、数年前に店を閉じてしまったのです。

意識することなく、特別苦労することもなく、外国の文化に日常的に触れることができるのは素晴らしいことです。今やインターネットを使えば、海外の商品を検索し直接購入することなんてカンタン。おじさんの目を盗みながらのミッチャン時代とは大きな隔たりがあります。
でもその一方、今ほど外国が身近でなかった分だけ、憧れも、手にした時の喜びも、あの頃の方が大きかったことは間違いありません。そういう夢を与えてくれたミッチャンは、あのころ確かに神戸らしいお店"だった"し、仮に今あったとしたら、残念ながら神戸らしいお店と言えるのかどうか難しいでしょう。
かつてミッチャンが与えてくれていた夢は、今や神戸らしいものではなくなり、なおかつ、それはもはや夢ではなくなってしまったのだなと、先日あるお店に行った時、そんな風に思ったのでした。
(関連エントリがこのあと続きます)
なんやかんや | comments (19) |trackbacks (0) | page top▲
セコムの食

comments

mikyunn | 2005/03/16 01:00 AM
ミッチャン。
センター街の象徴でした。
わたしが子どもの頃、おばあちゃんの世代の人は
おしゃれな小物を見ると、
「ハイカラやな。舶来か?」
と聞いたものでした。

舶来品が憧れと高級品であった時代。
ミッチャンの奥にある、ブリジッド・バルドーを思わせるようなランジェリーを見たいのだけど、チョコレートやら万年筆やらを見るのがせいぜいで、しかも子どもは早々追い出されるのでした。

ヴィトンやエルメスの直営店があちこちにできるような
現在、いまでも外国人が多く住む神戸ではあるけれど、
「外国に近い街」という特別な感じは薄らいできたように思います。

神戸の魅力の話になっちゃいそうですね。
ish | 2005/03/16 01:50 AM
mikyunnさん>
地味なエントリにコメントありがとうございます(笑)
実はエントリ前にミッチャンのことを色々検索してみたのですが、あんまりヒットしませんでした。
なので、どこかで書き留めておきたいという思いもあって、長々書いてみました。
>「外国に近い街」という特別な感じは薄らいできたように思います。
そうですね。かつては港が海外との接点だったのが空港になり、海外との行き来も当たり前の時代になったからでしょう。
今は、新しい「神戸らしさ」が必要とされているのかも知れません。
ミッチ | 2006/01/27 09:36 PM
ミッチャンが閉店したってホントですか?
あの震災のあと数年して神戸にいったときは
お店あったのに・・・
む蔵も別の場所に移って久しぶりにとんかつを食べ、
ミッチャンに寄ったんですよ。

>「む蔵」でとんかつ食べてミッチャンで買い物をするというのは、一昔前の神戸っ子の王道の一つだったと言えるでしょう。

私は大阪っ子ですが小さい頃から神戸に行ったら必ず
む蔵とミッチャンに行ってました。
む蔵で美味しいとんかつを食べ、それでも足らず
持ち帰りのとんかつも詰めてもらい、
そのあと、ミッチャンによってママが化粧品などを買い
私は外国のガムやチョコレートを買ってもらうのを
楽しみにして神戸に行ったものです。

そんな懐かしいお店がなくなってしまうなんて
ホントに悲しいです。(O.;)

思えばあれから半世紀近く経つのですもの
色々と変わっていくのは仕方ないことなんでしょうね。

それにしても本当に残念です。
ish | 2006/01/27 11:26 PM
ミッチさん>
こういうエントリにコメントいただくのは、普通以上に嬉しいんですよ。どうもありがとうございます。

神戸っ子だけでなく近隣の人達にとっても当時を代表する名物店だったミッチャンは、残念ながら無くなってしまいました。できるものなら今も元気で在り続けて欲しいところですが、正直なところあの個性は今の時代には受け入れられないかもしれないし、ある意味では使命を果たしたのかもしれませんね。

移転したむ蔵さんはいかがでしたか?店内の雰囲気は以前とあまり変わっていないように僕は思いましたが。

変わらない良さを伝え続けるのも、新しい良さを作っていくのも、お店とお客の双方があってこそ成り立つものだと、近頃つくづく思います。
どうぞこれからも神戸にお越し下さいね。
mimi | 2006/04/01 10:36 AM
小学校から高校までの10数年を阪神間で過ごしました。
この度、10数年ぶりに神戸に行くとあって、懐かしい場所をネットで検索中にこちらのブログに辿りつきました。
あの「ミッチャン」が閉店していたなんて!

「ミッチャン」は私にとって、三宮を象徴する店でした。
確かに店員の無愛想ぶりは圧巻で、日本広しと言えど、いまだ見たことがありません、あのような店は(笑)。
今思えば、あの独特な威圧感が、さらに舶来品の商品価値を高めていたような気さえします。

化粧品を買う母に連れられていった小学生の頃は、入り口近くにずらっとぶら下げられたヘアピン群から、お気に入りを探すのがお決まりでした。
高校生のときに、初めて買ってもらったパール入りレブロンのマニキュアもミッチャンで。
ショーケース前に居並ぶ客のわずかな隙間から覗く独特の雰囲気も今では思い出の中だけのものなんですね。

しばし、ノスタルジィに浸れました。ありがとうございました。
ish | 2006/04/01 12:11 PM
mimiさん>
このたびはコメントありがとうございました!
「独特な威圧感が、さらに舶来品の商品価値を高めていた」といわてみれば、確かにそうだったのかもしれませんね。簡単に手が届くものでないだけに、よりいっそう憧れる、という効果を生んでいたのかもしれません。
ま、あのおっちゃん方は、そこまでの考えはなかっただろうと推察しますが(笑)

女性の場合は、化粧品やアクセサリー類がある分、男性より余計に、当時のあの店での舶来品への憧れ感がビビッドに残っているのでしょうね。恐らく今でも子供の頃に見た光景がキラキラ輝いているんだと思います^^

久しぶりの神戸、どうぞ充分お楽しみください。
kuro | 2006/04/01 08:06 PM
サイドバーの『ミッチチャン』という言葉に
思わず、食らいついてしまいました。懐かしい・・・。
目を閉じれば思い出す、あのお店。
無駄のないスペースのディスプレイ、今となっては
ほんとに面白いお店だったと・・
『触らんといて!』と言われても、
どんなに客を客とは思わない対応をされても、
許される魅力がそこにはあったんですよね。
『決めてから言ってよ・・』なんてケースとケースの間の
スペースから対応する店員さん・・
mimiさんとおなじヘアピンなどをどきどきしながら
選んだ記憶がよみがえります。
大学時代には友人は口紅は『ミッチャン』で買っていて
その横で私はお菓子を買ってました(笑)

お花がたくさんついたスイミング用のキャップ。
どんな人が買うんだろう・・・なんて思ったなぁ〜。
今!思い出しました。

あぁ・・神戸のよき思い出の一つですね。
なんだか久しぶりに懐かしくて・・。
kuro | 2006/04/01 08:08 PM
あ・・『ミッチャン』が『ミッチチャン』になってる〜。
大事なトコなのに〜(笑)すみません。
ish | 2006/04/01 09:57 PM
kuroさん>
ほんとに個性的で、今思い返しても不思議なお店ですよね。
あの客あしらいが、外国への憧れを増すためのスパイスになっていたのかも、などという考えはこれまでまったく思いつきませんでしたが、やはりあの品揃えがミッチャンの魅力の真髄なのでしょう。
それぞれが、かつてあの店で興味を持ったモノは、今の自分たちの中にきっちり残っていることでしょうね。
kuroさんは食べ物ですか。僕もです。(笑)
poonya | 2006/10/14 11:35 PM
ミッチャンがなくなったのを知ったとき、元町のイクシマヤがなくなったと聞いたとき、神戸が消えていく気がしました。
他にもいっぱい『神戸の香り』を持ったお店がなくなっていきますね…
先日、蛸の壺でご主人と常連さんがもう元町、三宮はあかんね、どこの町にもある店に取って代わられてしもて…と話してるのを聞いて、…。。。となってしまいました。
ミッチャンは今で言うとこらろのセレクトショップの走りみたいなところがあって、女の子が手を伸ばしたくなるようなものがいっぱいありました。(お手軽な料金でね。)
だから怒られるかなって思っても足しげく行っては可愛い輸入小物を物色したものです。
まあ、おじさんもおばさんも随分お歳だったし、怒るのも結構疲れるのでお店を閉じられたんでしょうが…
神戸を離れてしまった今はたまに帰ったときにエビアンで一息つくのが楽しみです。
さんちかの八百丑(レストラン)もなくなっちゃったんですよね?
ish | 2006/10/15 01:44 AM
poonyaさん>
全国的あるいは世界的な展開をしているお店の進出と共に、地元ならではのお店が衰退しているのは、どこにでもある話かとは思います。それがどんどん進めば、どこに行っても同じ街…考えただけでもぞっとしますよね。

昨今のセンター街や元町商店街で、その傾向が急激に増しているのは確かだと思います。その一方、神戸に縁もゆかりもない「神戸ブランド」が幅をきかせているという、変な現象もあります。外では通じるけれど中では評価が落ちてきているということなんでしょうか。
神戸っ子一人一人が、もっと自分たちの街に誇りと愛着をもってもらいたいものですね。そのためには、そういう街作りが必要なんだけど…。
moro | 2008/01/20 04:07 AM
神戸の震災のテレビを見ながらミッチャンのことが気になり、検索しましたらこちらを見つけました!コメントを読み同じ思いのかたがいるのがうれしくて、でも もうなくなってたのですね。大阪在住の私ですが甲子園のおばあちゃんの家に行く前などに母とみっちゃんにいくのが楽しみでした。自分のおしゃれ感の一部分はあの店で影響を受けているなーと思うのです。インポートなど言わなかったですよね、まさしく舶来品がありました。店の陳列や商品を鮮明に覚えているんです、かわいいヘアピンを探すのが大好きでした。インディアンのビーズベルト、かわいい絵がペイントされているバスケットほしかったなぁ。あの頃はあこがれのプライスで毎回眺めてはどきどきしていました。時代が変わりお店の使命をはたした?のではというのは同感です。ほんとあの頃のお買い物は楽しかった!
ish | 2008/01/20 09:13 AM
moroさん>
ヘアピンのことを書かれる女性が多いですね〜 僕なんぞはそっち系はうっすら憶えてる程度で、食べ物やら筆記用具やらライターやらの印象が強いです。

>自分のおしゃれ感の一部分はあの店で影響を受けている
これ、よくわかります。例えヘアピンに興味はなくとも(笑)、その手の「舶来品」で自分のセンスが養われたってところがありますもんね。
ももない | 2008/03/04 11:35 PM
私もふとミッチャンのことを思い出し、検索してこのブログを見つけました。
私はミッチャンの店舗自体は入った事がないのですが、ちょっと特別な思い出があります。
もう20年ほど前に奈良公園をぶらぶら一人で散歩している際、とある男性に道を聞かれ、そのまま案内することになったのですが、何故か私を気に入られたようで、徐々に口説きが入ってきたので気味悪くなりそのままさよならしたのですが、その男性、どうやらミッチャンのオーナーだかその息子さんだったようです。
私は「み」のつく名前なのですが、それを聞いて「うちの店と同じ名前だ!」と喜んでいました。私はそんな店知らなかったので、神戸の夜景を見下ろす自宅の話ともども信用していなかったのですが、後になって思い出し、調べてみると本当に店があったので驚いた覚えがあります。
その後、三宮に行った際、実際の店舗を見つけたのですが、もしその男性に見つかってまた口説かれたら嫌だったので(笑)、そのまま入らずに立ち去りました。
とまあ皆さんのように子供の頃の楽しい思い出ではなく、若かりし頃の無防備な自分へのほろ苦い思い出になるのですが、店がなくなったとのお話、その男性は今どうしていらっしゃるのでしょうね。
ish | 2008/03/05 09:58 PM
ももないさん>
ちょっと変わったコメント、ありがとうございました。
当時の神戸っ子なら大概ミッチャンを知っていたでしょうから、果たしてその男性がほんとにオーナーとか息子さんだったかどうか、疑わしいかもしれませんね。まあ今となっては真相を知る由もありませんが。

もし実際にお店に入ってたら…ももないさんの人生も変わってたかも知れません(笑)
それほど素敵なお店だったんですけどね。
ロン | 2008/05/15 08:31 PM
はじめまして。
僕は商売をしてまして、あるお客様が ミッチャン の話をされてました。ミッチャン には僕も買いに行った事があり、懐かしさのあまり、お互い大爆笑しました。僕が中学校、高校の頃は ミッチャン は本当に有名でしたね。
神戸に住んでいて、ある一定以上の年齢の方は、ミッチャンを知っていますね。
ひょっとしてと思って、ミッチャン を検索したところ、このブログにあたりました。今度、ミッチャンに関しての話を、ブログに書こうと思います。思い出させてくれてありがとうございます。
ish | 2008/05/15 09:18 PM
ロンさん>
ようこそお越し下さいました!
ご商売をなさっているとのこと、ミッチャンのスタイルはどう捉えられているんでしょうか(笑) あのままでは、恐らく今は受け入れられないでしょうね。でも当時はお店もお客もあれで良かったわけで、それはそれで幸せな時代だったんだと思います。
どこにでもあるのではなく、そこにしかない存在でありたいものですね。
ロン | 2008/05/16 09:38 PM
先日のコメントに、お返事くださり、ありがとうございました。
ミッチャンのことをブログに書きました。
もしよろしければ、覗いてください。
また、遊びに来させていただきます。
(僕は、神戸に住んでいます)
ish | 2008/05/17 12:07 AM
ロンさん>
拝見しました。鍵屋さんだったんですねえ〜
さぞかし色んなお客さんがいらっしゃるんでしょう。
ぼつぼつ読ませていただきますね!

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