さよなら、あまから手帖

あまから手帖.jpg関西在住で食べることが好きな人なら、一度はこのあまから手帖を手にしたことがあるのではないでしょうか。東京からの出版物があふれかえっている中、関西のみならず東京以外の場所で雑誌を作り続けるのは容易ではありません。あまから手帖もその例に漏れず、これまで何度かの休刊を経験してきました。ところがこの手の雑誌には希なことだろうと思うのですが、休刊の度に復刊を果たし、1984年11月創刊号以来現在に至るまで、質が高く濃い内容の食の月刊誌として親しまれています。

今回僕が「さよなら」と書いたのは、あまから手帖がまた休刊するわけでもないし、僕個人がこの雑誌と決別するわけでもありません。
上の写真は僕が持っている創刊号をスキャナで読み込んだものなのですが、創刊時の発行元は京阪神エルマガジン社、編集長は重森守さん、表紙は宮脇綾子さんの創作アップリケでした。1984年11月号創刊、翌85年7月号をもって最初の休刊。同年12月号からあまから手帖社が発行元となり復刊、以降95年3月に阪神・淡路大震災の影響もあり再休刊となるまで、重森編集長・宮脇さんのアップリケの組み合わせは変わらないままでした。
そして、重森・宮脇さんが関わっていない95年6・7月合併号が「がんばれ神戸大特集号」として発売された後、あまから手帖は通算3度目の休刊に入りました。

実は僕、この創刊号から95年6・7月合併号までを全冊持ってるんです。
食の月刊誌のウリの一つはお店の紹介。ただしこんなに月日が経ってしまうと、その情報価値はかなり低いものになってしまいます。しかしながら、食に関する様々な記事は時間に関係なく面白く、この雑誌への愛着もあってこれまで大事に保管してきました。
ところがその一方、家庭内の様々なモノは増大する一方。もっと経済力があれば広い書斎でも作りたい所ですが、いかんせんそんなことは到底無理。これまで幾度かこのあまから手帖全冊の処分を考えては思い直しを繰り返してきましたが、この度思い切って処分することにしたのです。

お気に入りの雑誌や本が捨てられなくて押し入れにしまってるって方はけっこういるんじゃあないでしょうか。この手の雑誌の買い取りって、前号そろってるとかは関係になしに、単純に綺麗かどうかで価値が決まってくるそうです。なんか寂しくてたまりませんが仕方がありません。
せめて創刊号と95年6・7月合併号だけは手元に置いておこうかなと思っています。

さて、三回目のの休刊の後、96年8月号からは出版元がクリエテ関西となり、「amakara techo」となって三度復活(現在はまたもとのタイトルに戻っています)。そのタイトルが示すとおりターゲットも編集方針も変わってしまったため、それ以降僕のこの雑誌への興味は急にレベルダウンし、時々手にする程度になっしまっています。
僕にとってのあまから手帖は、重森編集長時代のあまから手帖。名残は尽きないけれど、とうとうお別れの時がやってきてしまいました。
ありがとう、僕のあまから手帖。
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comments

えて吉 | 2005/04/04 11:47 AM
創刊号からずっと買ってはったとはスゴイ。

筋金入りの食いしん坊ってヤツですか。

当時の紙面の雰囲気には興味がありますねぇ。

かなり前に載ったハズの行きつけの割烹なんかの
記事がどんなんやったかとか・・・。

雑誌捨てるのって難しいですね。

私も初めて乗った車”MINI”専門の
雑誌はいまだに捨てられず実家に置いてます。
ish | 2005/04/04 01:16 PM
えて吉さん>
>創刊号からずっと買ってはったとはスゴイ。
まあそれだけ年食ってる証でもあるわけですが(笑)

この重森編集長時代のは、熱気というかなんというか、そういうものをビシバシ感じるんです。お店に対しても読者に対しても編集者自身にも、なにがしかのポリシーを求めるかのような姿勢がありました。それ故に営業的には苦しかったのだろうと推察するのですがね。

昔の雑誌を実家に置いておくというのはよくあるパターンですね。知らない間に捨てられてしまわないよう注意して下さいよ。(経験者は語る)
lovecoffee | 2006/04/20 02:37 AM
こんばんは、1年前の記事にコメントですみません。

重森さん、亡くなられましたね。
私も重森さん時代のあまから手帖ファンです。
そして重森さんのファンでした。

追悼の意を込めて何か書こうと思い、重森さんについて検索したら、たまたまishさんのところでした。

あんな風に文章だけで食べ物の持つダイナミズムを人に伝えられる様になりたいものです。写真を入れても…なかなか伝わらないのに…。
ish | 2006/04/20 11:15 AM
lovecoffeeさん>
思い入れのあるエントリに、ふさわしい?方からのコメントをいただき、嬉しく思っています。
重森さんが亡くなられたことは、そちらのエントリでまず初めに知りました。直接お会いになったこともあるとのこと、僕などよりずっと残念な心境だろうとお察しします。

重森さん時代のあまから手帖は、色んな意味での熱気を感じさせる雑誌だったと思います。上に書いた宮脇さんのアップリケ以外にも、須佐美誠一さんのエッセイ・「黄金のグラス」も大好きでした。
重森編集長時代のあまから手帖への憧れは、僕がこのfoodishを始めたきっかけのひとつです。もちろん足元にも及ぶものではないですが…。

直接お会いしたことがあるかないかにかかわらず、色んなことを教わった「先輩」が去っていくのは、悲しく寂しいことだし、とてももったいないことです。出来るだけ多くのことを学び取り、次の世代に伝えるのが僕らの役目であろうとは思いつつ、果たして先輩方のように立派に務められるのだろうかと感じることが最近良くあります。

…うは、珍しくマジなことを書いてしまいました。

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