【旧】foodish：”雑”食記

今週の月曜火曜の1泊2日で、「こんなの食べたよ」のえて吉さんと毎度ながらのええ加減ドライブ旅行に行って来ました。早朝に神戸を出発し四国フェリーに乗って、お昼過ぎに到着したのは、いきなり今回の旅の最大の目的地である「阿讃亭」。ここに来たいがばっかりに、わざわざ四国までやってきたようなもんです。



市街地からかなり山の中に入り、徳島県との県境も近い場所なので、店内はサラリーマンっぽい人とかカップルなんてのは皆無。ジモティ率・平均年齢とも高かったです。
またうどんか、とお思いでしょうが今回はちょっと違います。もちろんうどんあるし、むしろそばのほうが自信ってな話も聞きますが、そちらが目的でもありません。



(左)お店に入って席に着く時、最初に目に入ったのが、おばあちゃんが食べようとしてる天ぷらマウンテン。もっと近寄って撮れなかったのが残念なんですが、直径30cm程のお皿に高さ15cm程積まれてたでしょうか。これを3人で食べてはったんですが、一体どんな注文内容だったのか？！
(右)ここは各種天ぷら類も充実。特にたけのこは、春に採ったものを秘伝の方法で保存しているので、年中おいしく食べられるそうです。



(左)うどんメニューのうち珍しげなのは、肉天・冬のみの田舎(しっぽく)・正体不明のスペシャル。こちらには記載されていませんが、秋になると松茸うどんが登場するそうで、そちらも是非とも食べてみた〜い！！
(右)裏のそばメニューにも田舎あり。古式ってのは挽き方が違うんでしょうかねえ。
で、注目していただきたいのは、メニュー左側のうな重。事情を知らなければ、なんで麺類屋でうなぎなんかあんねん、レトルトものでも置いてあるのかなって思うところでしょうが、実はここのうな重は、正真正銘国産の天然鰻を使ってるんです。


(左)そう言い切れる理由は、ここの大将が仕事が終わってから前の川に夜釣りに行ってるから。筒状の仕掛けで穫ってるんですかと訊いてみたら、釣り竿使ってミミズをエサにして、一匹ずつ釣ってるそうです。
(右)自分で釣った鰻を店頭にある水槽でしばらくどろを吐かせ、注文があってから裂いて焼いて食べさせてくれるんだから、これ以上条件のいいうな丼はそうお目にかかれないでしょう。


以前にこの阿讃亭のうな重のことをメタボさんのところで目にして以来、食べたくて食べたくて仕方がなかったんです。これを食べるとすると、せっかく香川まで来るんだからうどんも食べたい。でも、うな重のボリュームがすごそうなので、いくら何でもハシゴできそうにない。うな重食べるだけのために四国まで渡ってくるのはあまりにもアホやしなあ、ということで迷ってたんですが、日帰りならもったいないけど、いっそそれなら泊まりがけの旅行にしてしまえ！ってことで今回の四国行きが決まったんです。
はるばるやってきて品切れだと目も充てられないから、数日前に予約。到着時間がわからないので、近くに来たら改めて連絡するということで(注文してから30分くらいかかる)、2人前お願いしておきました。



写真で見ていたとはいえ、実際目の当たりにするとものすごい迫力。蒲焼きが容器全面にびっしり敷き詰められている、というか、切り身が3分の1程度重なってるやん、これ。キメが細かくコゲもなくきれいな身、ふんわり香ばしいうなぎの
香りに、爽やかな山椒の葉っぱの風味がエッセンスに。ちょっと背中がぞくっとするくらい魅力的な瞬間でした。


ざくりとお箸をつっこみ、蒲焼きとごはんをすくい取って口に運ぶと、なんとも言えない蒲焼きの香りが口中いっぱいに拡がります。ギトギトとは真反対の、いい意味で軽くて自然なノリ加減の脂が、とにかく上質、全てにおいて品がいい。ボリュームはあるけれど、うな重一人前が軽くさっぱりあっという間に胃に収まってしまって、これが裂き立て焼きたて天然鰻の旨さかと、感動しまくりの夢のような一時。鰻が好きなので色々食べてきましたが、期待通りトップクラスのおいしさでした。これが2500円なんて、近くの方はなんて幸せ者なんだ……

以下、大将に聞いた話。

• タレは昔から使い続けてるのがいいとは思わない。焼くと黒くなってくるので見た目も悪いし、ここでは使い続けてるタレと新しいのをブレンドして使っている。
• 鰻は年中捕れるわけではないので、シーズンオフには旬の頃に焼いて冷凍したものをお出ししている。
• (僕は柔らかい蒲焼きが必ずしもいいとは思ってないが、今回食べたのがけっこうふんわりしていたので、関東風に蒸しを入れてるんですか？との質問に対して)蒸しは入っておらず焼いてるだけ。長年鰻と付き合ってるので、どういう風に焼けばいいかわかってる。ちゃんと焼けばああいう風に柔らかくなるんですよ、と。(これには驚いた！)

大将を始め、お店の方が皆さんとても人なつっこくて愛想が良くって、とにかくいいお店でした。遠くからわざわざ来たと知って、お土産にゆず酢を使ったバラ寿司までちょうだいしてしまいました。さすがしばしの間は食べられないので、その夜ホテルに到着してからと翌朝の2回に分けていただきました。

冬にはボタン鍋もあるそうだし、隣の人が食べてたそばもおいしそうだし、もちろんうどんも、松茸もたけのこもまたうなぎも食べてみた〜い！！　ああ、困った、ちょっとやそっとではここには来られないんだ……