【旧】foodish:”雑”食記

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ある京都ラーメン

Posted ish / 2004.09.11 Saturday / 14:16

blogを始めた頃からどうしても書きたかった、ラーメンに関するどうでもいい話です。

神戸に比べ、京都にはおいしいラーメン屋さんが多いような気がします。学生時代の4年間を過ごした京都では、いろんなラーメンを食べました。もうかなり前の話ですけど(^_^;) その当時住んでいた一乗寺の下宿の近くには天下一品の本店があり、あのコテコテを初めて見た時はびっくりしたもんです。ネギを山盛りにして食べる夜中の天一。いかにも体に悪そうなんだけど、おいしいんですよねえ。周りには中毒とも言える友人が何人もいるくらい、魔力?を持ったラーメンです、あれは。

下宿周辺の学生たちには、そんな天一派とは違う、もう一つのラーメン派閥がありました。叡電(京福電鉄叡山線)の駅でいえば、一乗寺の北隣、修学院(修学院離宮がある所)駅の東側にある、鷺の森神社。
その鳥居の下に夜9時から夜中3時頃まで営業している屋台ラーメンがそれでした。

ここのラーメンの値段は、当時でも破格の並・250円。チャーシュー麺もあるにはあるのですが、普通の並でも充分な量のチャーシューが覆い被さっており、その下には細くてストレートでするっと口に入っていく麺と、臭みがなく白濁してほのかな甘みがある、何とも言えない旨味があるスープが隠されているんです。
僕は下宿生活を始めてすぐの頃にこの屋台ラーメンを友人の先輩から教えてもらい、初めて食べた時からすっかり気に入ってしまいました。たまに前述の魔性のラーメンも食べに行ったけれど、ほとんどはこっち。週に2,3回は食べていたはずです。

通称は「鷺の森神社の屋台ラーメン」、本来の屋号は「萬来軒」。本来の名で呼ぶ人はほとんどいなかったけれど、屋台につるされた赤提灯にはその名が記されていました。気真面目なお父ちゃんと、一所懸命働き愛想がいいお母ちゃん、たまに手伝いに来る娘さんの家族で作るラーメンは本当においしくて、比叡おろしが厳しい冬の夜中でも、屋台の周りは注文したラーメンを待つ近所の下宿生で一杯でした。

ところが、ある日を境に、ぷっつりとこの萬来軒の屋台が出なくなったのです。
僕を含め、萬来軒ファンにとっては大ショック。すごく流行っていたけど、やっぱりあの値段では経営苦しかったんやろかとか、それならもう少し値上げしてもいいから続けて欲しかったとか、自分たちもお金ないくせに色々と考えてしまったものでした。
そうこうするうちに何日か経って、叡電・一乗寺駅近くに下宿している友人から吉報が。
その友人の下宿近くにとあるラーメン屋があったのですが、評判が悪く少し前に潰れてしまった。しばらく空き家だったが、つい最近新しい人がラーメン屋を始めており、それが萬来軒の人達だというのです。

話を聞いた日の夜、喜び勇んで早速その店に行ってみると、紛れもないおっちゃんおばちゃんの顔が!!嬉しかったですね〜あの時は。
おばちゃんに話を聞いてみたら、苦しいながらなんとかお店を出す資金ができたのでこちらに移ることになったが、急な話だったのでお馴染みさんに充分伝えることができなかった。資金が足らなかったので、お店の入り口の上にあるテントを張り替えることができず、当分は前のお店の屋号が書いてあるまま。まあ、お金が貯まったらテントの名前書き換えるわぁ〜 ごめんねぇお兄ちゃん(これ、おばちゃんの口癖です) …だって。

出てきたラーメンは、屋台の頃と味も値段も変わらない、あの大好きなラーメンでした。お店のテントこそ前の店の屋号のままでしたが、店先には屋台時代の「萬来軒」と書いた赤提灯がつるされていました。

…それから20数年が経った今(年がバレるなぁ)、息子さんがおっちゃんの跡を継ぎ、値段こそ変わったけれど、僕の大好きなそのラーメン屋さんは変わらず営業を続けています。そして、お金が貯まったら替えるはずのテントも、移転した時のまま。
赤いテントには前のお店の屋号、「天天有」と書いてあります。

天天有.jpgそう、今や京都のラーメン名店として全国区となった「天天有」は、実は萬来軒という名前のはずでした。お金が貯まったら名前を書き換えようと思っていたところが、テントの名前が通称になってしまい、結局書き換えることができなかったんでしょうね。
(ちなみに、ファミマ限定販売のカップラーメンが発売された時もありましたが、ありゃあひどかった。お店の味とは全然違ってました。)
お店が変わって何年かは、店先に屋台時代の赤提灯がぶら下がっていたけど、今はどうなのか知りません。最後に食べてからもう5年くらい経つかなあ。京都の中心部から少し遠いのと、夜しか営業していないのとで、なかなか食べに行く機会がないんですよ。

京都の天天有と博多の八ちゃんラーメンは、僕にとっての2大ラーメン。
自分の好きな味であることはもちろん、いろんな思い出が詰まってるんです。
どちらもめったに食べられないだけに、余計に想いがつのります。
いつまでもあの味を守り続けてもらいたいと、心から願っています。

(追伸)ほんとにどうでもいいネタでスミマセン。
   でも、大好きなお店なので、どこかに書き留めておきたかったもんで。

関連エントリ:「超私的探求欲を満たさんがため」もどうぞご覧下さい。

Comments

りうぞー2004/09/12 02:57 AM

こんにちは。
天天有、確かにあそこの味は他では絶対味わえないですよね。
飾り気のないお店、素朴で優しい味、名店です。
それ以外に京都でおいしいお店は、五条高倉東にある「風花」です。
こちらは塩ラーメンですが、とてもコクのある塩味でうまいですよ。
京都までお越しになった際にはぜひお寄りやす〜。

ish2004/09/12 09:22 AM

りうぞーさん> 長々とした文を読んでいただき、ありがとうございました。
京都はほんとうにおいしいラーメンが多いですね。
最近とんとご無沙汰なので、紅葉シーズンでごった返す前に行ってみたいなと思っています。

nori2005/01/02 05:05 PM

こんにちは。
私は、京都のラーメン横丁近くに住むものです。
ラーメン横丁とは、高野周辺(天天有周辺)のラーメン店が沢山あるエリアのことを、私たち仲間はそう呼んでいます。
萬来軒?いったいどこにある?
と、ラーメン大好きな私は、頭の中に様々なラーメン屋がよぎっておりました。
な、なんと、天天有のことだったのですね!
こんな物語があったなんて、ほんと感動!
私も、天天有が大好きです!
夜からのオープンですが、深夜に行った方が、
スープが濃厚なっているようで、大好きです。
そんな天天有は、京都四条烏丸に出来た、
「COCON」という新しいビルに出店しているようですよ。
私もまだ行ってませんが・・・。
お試しください!

ish2005/01/02 05:51 PM

noriさん> ようこそお越し下さいました!
それも、僕の大事なエピソードに反応していただき、とてもうれしく思っています。

そうですか、あのあたりはラーメン横町と呼ばれているんですか。札幌のラーメン横町はあまりいい印象ではないので、ちょっと複雑な心境ですが(^^;)

COCONというビルに出店とのこと、情報ありがとうございます。まだできたばかりのビルですね。天々有もロゴなんかできて、メジャーになりつつあるのかなあ。ちゃんとあの味を守ってもらいたいと祈るばかりです。ま、四条烏丸ならずいぶんと便利なので、それはそれで楽しみなことです。
ところでこのビル、あの老香港酒家も入ってますね。ここについてもエントリしてますので、良ければご覧下さいね。

けいこ2005/01/29 06:34 PM

このエントリーは読んでいませんでした。

是非一度食べてみたいラーメンとなりました。
ああ、絶対関西襲撃決行しなくては・・・・。

ish2005/01/29 10:22 PM

けいこさん>
長いエントリにおつきあいいただき、ありがとさんです。
天天有に関してまた新しいエントリをしました。
もしよろしければ読んでくださいね(長いよ)。

ぜひとも関西に出陣してくださいね〜

teru2005/05/18 10:20 PM

ishさん、こんばんは。
TB大会の参加、ありがとうございました。

以前「超私的探求欲を満たさんがため」のほうにコメント書きましたが、このお店に対する愛情がひしひしと伝わってきて、いいエントリーだなぁと・・・。

ishさんのblog読んでいると、関西に飛んでいろいろなお店で食べたくなりますねぇ。

ish2005/05/18 11:31 PM

teruさん、わざわざありがとうございます。
やっぱ、このエントリーをTBしてくると予想されてたみたいですね。その期待に応えたんです(笑)(ウソ)

実は、全く迷うことなくこのエントリーを選びましたし、自分で言うのもなんですが、これ、好きなんです。これより好きなエントリーはもう書けないだろうなあ、多分。

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ラーメン大好き小○さん (1ヶ月で100軒制覇に挑戦したブログ!!)2004/09/16 09:43 AM

さて、今度は、京都で一番うまい店(という噂)の天天有に来ました。

teru's blog〓ヨコハマ食い出し紀行〓2005/05/17 10:15 PM

えっと本当は本blogの1000エントリー目にやろうと思ってたんですけど、すっかり忘れていて(汗。ちなみに1000エントリー目は逆算するとこちらでしたけど。ええ忘れていたので「素」のエントリーです(汗。あと本エントリーのタイトルははっきり言いましてこちらのぱく...

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